春の陽ざしが差し込む工場の一角。ステンレスのパイプが張り巡らされた機械室では、今も静かに「蒸留水」が作られ続けています。普段の生活であまり馴染みがないかもしれませんが、工場にとって蒸留水はとても重要な存在です。
では、「蒸留水」とはいったいどんな水なのでしょうか?
◆ 蒸留水の基本
蒸留水とは、水を一度沸騰させて蒸気にし、それを再び冷やして水に戻したもの。蒸発の過程で不純物やミネラル成分が取り除かれるため、極めて純度が高く、限りなくH₂Oに近い水となります。
工場ではこの性質を利用し、精密機器の洗浄や薬品の調合、バッテリーの補水など、不純物が影響してはいけない工程に多く使われています。
◆ 飲み水としてはどうなの?
実は、蒸留水は飲むこともできます。ただし、味にクセがあり「物足りなさ」を感じる人が多いかもしれません。なぜなら、私たちが普段「おいしい」と感じる水には、微量のミネラルが含まれているからです。
蒸留水はそれらのミネラルさえ取り除いているため、無味に近く、まるで「からっぽの水」のように感じられるのです。
◆ 蒸留水は安全?それとも危険?
蒸留水は純水であるがゆえ、**体内のミネラルを奪うのではないか?**といった話もあります。しかし、短期的に飲んでも大きな害はありません。ただし、長期間の水分補給が蒸留水のみになると、体に必要なミネラルが不足するリスクは確かに存在します。
この違いこそが、ミネラルを含む天然水やミネラルウォーターとの大きな差なのです。
サンミネラル君
【後編】ミネラルってなに?工場蒸留水との決定的な違い
私たちの身体にとって、ただの水分だけでは足りません。そこに必要不可欠な栄養素、それが「ミネラル」です。
◆ ミネラルとは
ミネラルとは、カルシウム・マグネシウム・カリウム・鉄・亜鉛など、体内で合成できない必須の無機栄養素です。骨や血液の材料になるだけでなく、神経伝達や代謝にも関わるため、健康維持に欠かせません。
通常、私たちは食事や水からミネラルを補給しています。特に「水」から得られるミネラルは吸収が良く、毎日の水分補給が栄養補給にもつながるという、まさに一石二鳥なのです。
◆ ミネラルが含まれる水の特徴
ミネラルを含む水、つまり天然水やミネラルウォーターには、以下のような特徴があります:
- 味に“コク”や“まろやかさ”がある
- 地域の地層や岩盤由来の成分が含まれる
- 継続的に飲むことでミネラル補給につながる
これらはすべて、蒸留水にはない要素です。言い換えれば、ミネラルの有無が水の“生きている感”を左右するともいえるかもしれません。
◆ 飲料水として選ぶならどっち?
目的によって選び方が変わります。
- 工場用途や実験目的 → 蒸留水(不純物ゼロが大切)
- 日常の健康維持・水分補給 → ミネラルを含む水(栄養価も重視)
また、健康意識の高い人の中には、ミネラル補助食品(サンミネラルなど)を水に混ぜて飲むスタイルもあります。これは蒸留水にも応用可能で、“何も入っていない水”に自分に合った成分を加える自由があるのが蒸留水の強みともいえます。
【まとめ】
🔹 工場蒸留水は、限りなく純粋な水。工業や医療など、精度を求める現場で活躍。
🔹 ミネラルウォーターは、身体に必要な栄養素も含んだ“生きた水”。味も健康も満たす存在。
🔹 飲料水として選ぶなら、目的に合わせて選ぶのがベスト!
毎日口にする水だからこそ、その違いを知ることは大切です。蒸留水もミネラルウォーターも、それぞれの良さを知って、上手に活用していきましょう。