【前編】昭和ママの台所から広がる、家庭のミネラル
コトコトと煮物の音が響く、小さな団地のキッチン。
朝8時、子どもたちを送り出したあとの台所は、ようやくママの時間が流れ始める。
昭和50年代、まだ冷蔵庫も小さく、電子レンジもなかった時代。
だけど、台所には“工夫”と“愛情”がたっぷりあった。
野菜は近所の八百屋さんで旬のものを選び、魚は魚屋で新鮮なものを1尾まるごと。
干物にしてストックすれば、保存もきいて便利。
そしてお味噌汁には、ワカメや豆腐、じゃがいも、ねぎなど、日替わりの具が入る。
これらの食材、実はどれもミネラルの宝庫。
ワカメにはヨウ素とマグネシウム、豆腐にはカルシウムと鉄分、じゃがいもにはカリウム。
当時のママたちはそんな栄養素の名前こそ知らなくても、**「体にいいから食べなさい」**と自然に伝えていた。
中でも特別だったのが、「だし」をとる時間。
昆布と鰹節で丁寧にとっただしは、まるで魔法のスープ。
これだけで料理がぐんと深い味わいになり、塩分を減らしても美味しかった。
今でこそ「無添加」や「栄養強化」が注目されているけれど、昭和ママの手料理には、すでに自然のチカラがいっぱい詰まっていたのだ。
サンミネラル君
【後編】優しい手から生まれる、体を整える力
「おやつよ〜」
午後3時、遊びから帰った子どもたちを迎えるのは、手作りのホットケーキやふかし芋。
駄菓子屋のお菓子ももちろん楽しいけれど、ママが作ってくれた素朴なおやつは、どこか安心する味だった。
そして夕方には、また忙しく台所が動き出す。
煮物のいい匂い、炊き立てご飯の甘い香り。
焼き魚、味噌汁、青菜の胡麻和え。昭和ママの献立は一見シンプルだけれど、実は栄養バランスが絶妙。
このバランスこそ、子どもたちの「体づくり」の基礎となり、知らず知らずのうちにミネラル不足を防いでいた。
特に鉄分、カルシウム、マグネシウムなどは、発育期の子どもにとってとても大切な栄養素。
自然な食事から、それらをしっかりと摂取できていたのだ。
忙しくても、手間を惜しまない。
子どもの健康のために、家族の元気のために。
そんな昭和ママの想いが、一皿一皿に詰まっていた。
今は時代が変わり、便利な食品が増えた。
でも、ふとした日にあの味を思い出すと、やっぱり体がホッとする。
それは、思い出と一緒に体にしみ込んだ、ミネラルの記憶かもしれない。