Your cart is currently empty!
お茶はダメ?医師に聞く熱中症対策「効果半減」になる水分の取り方
気象庁による5月~7月の「3か月予報※1」では、地球温暖化と冬に終息したラニーニャ現象の影響などの残りにより、5月はほぼ平年並みであるものの、6月は平年に比べて気温が高くなる見込みであると発表されました。今年も暑い夏を迎えることになる可能性が高いであろうと予想される中、タイガー魔法瓶株式会社(大阪府門真市)が「熱中症対策を何月から始めているのか」について、20代~50代の男女526人に調査しました。 ◇ ◇ ◇
5月から熱中症対策を始める人は3割程度
体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」には数日から2週間程度の時間が必要※2と言われおり、本格的な夏が始まる前の5月はまだ暑さに慣れていない人が多いため、特に熱中症に注意が必要です。
アンケート調査でも5月を「熱中症対策を始めるベストな時期」と回答した人は最多の38.2%でした。ただ、実際に5月から対策を始めている人は31.3%にとどまり、時期に関わらず「熱中症対策自体をしない」と答えた人も15.9%という結果になりました。 「熱中症対策は5月から始めた方がいい」と思ってはいても、実際にはほとんどの人が5月には特に対策をとっていないことがわかります。
過半数以上が十分な水分補給をできていない
次に、「初夏(5月~6月)の外出時、1日に平均で何回程度、水分補給をしますか?」と聞いたところ、「3回以上、水分補給ができている」と答えた人は3割のみという結果でした。また、「水分補給を意識したことがない」が45.4%、「0~2回」が19.3%となり、こまめな水分補給ができていない人が過半数以上いることも判明しました。
5月から「熱中症危険月」は始まっている
熱中症はどういった症状で、どのような対処をするべきなのか。兵庫県三田市にある医療福祉センターさくら院長の服部益治先生に詳しく解説してもらいました。 ――熱中症とは高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態になること※3。このとき、体はどのような反応を見せるのでしょうか? 体は防御反応として発汗で体温を下げますが、その代償で発汗(体液喪失)に伴う「脱水症」に向かいます。発汗により体内の塩分も失うので、私は「脱塩水症(造語)」が理に適う言葉だと提言しています。 ――やはり5月から熱中症には注意したほうがいいですか? 「熱中症警戒アラート」は、熱中症の危険性が極めて高くなることが予測される場合に発表されます※4。情報提供期間は毎年4月の第4水曜日17時発表分からスタートされることからも、5月から「熱中症危険月」とされています。 ――「かくれ脱水」という言葉もありますが、それはどういった状態なのですか? 体重の60%は液体(体液)で、体重50kgの成人ならば30Lの液体を含有し、その約半分の16Lは筋肉細胞内にあり、筋肉は体液の貯蔵庫です。そのため、筋肉量が減少しやすい高齢者は、「かくれ脱水症」(脱水症の予備群)の状態と認識したほうがいいでしょう。 ――熱中症を防ぐためにも水分補給が大切だと思いますが、何か気をつけるポイントはありますか? コロナ禍を経て、自粛生活に伴う活動・運動不足で筋肉量が減少し、熱中症に陥りやすい体に変化している人も多いので、今年は特に対策をしっかりしてほしいですね。1時間毎にコップ1杯程度の水分補給が大切ですが、一度にたくさん飲むと腎臓が「体内洪水」を回避するため排尿を優先し、飲水の効果が半減します。 また、飲み物ならなんでもいいわけではありません。コーヒー、紅茶、緑茶などのカフェインを含む飲み物は、利尿作用があるので、せっかく飲んでも飲水の効果が半減してしまうので注意してください。
熱中症予防のためにできること
厚生労働省の「熱中症予防のための情報・資料サイト」によると、室内では扇風機やエアコンで温度を調節したり、遮光カーテンやすだれを利用する、屋外では日傘や帽子を着用する、こまめな休憩を取るなど、暑さから身を守るためのさまざまな対策が紹介されています。こういったものもぜひ参考にして、熱中症を防ぐようにしてください。
服部益治先生
社会福祉法人 枚方療育園 医療福祉センターさくら(慢性期病院)院長。 兵庫医科大学病院 医師。 医学博士。小児科専門医・腎臓専門医。